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純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■1999年12月のニュース一覧
▼[1999.12.28]母子受精
▼[1999.12.26]金はウェブの回り物
▼[1999.12.25]I stalk you, always!
▼[1999.12.24]熟を妨げる熱
▼[1999.12.23]21世紀のための日本語論
▼[1999.12.22]速さこそ命
▼[1999.12.21]ネットワークフレキシブルフランク!
▼[1999.12.19]期間限定!あと1ヶ月の噂
▼[1999.12.18]大企業の価値の喪失
▼[1999.12.16]その切なさがリアルとの差
▼[1999.12.15]シオンの丘に昇る陽の意を解く
▼[1999.12.14]お掃除だ〜い好きなんですぅっ。
▼[1999.12.13]ハックに思いを抱いてミレニアムを
▼[1999.12.12]紙屑でしかない新聞
▼[1999.12.11]すべてはメリッサから始まった
▼[1999.12.10]記念すべき記念品
▼[1999.12.09]変化=進化
▼[1999.12.08]2000年問題君現わる!
▼[1999.12.07]心の痕跡を消す術
▼[1999.12.05]未来
▼[1999.12.04]TVという名の地域格差を消せ
▼[1999.12.03]メールの送り主の居場所
▼[1999.12.02]噂のチャンネル
▼[1999.12.01]遠くへ行きたい

■2000年1月のニュース一覧
■1999年11月のニュース一覧


 
[1999.12.28]
  母子受精


 ▼1999年,101の出来事(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/9912/24/int101_01.html


 産み落とせ ワイヤードの落とし子 母のワイヤードを駆けろ。

 1999年は大きな飛躍と変化の年となった。そしてこれまでの年と同様,ウェブは1999年も,大方の予測を上回るスピードで成長を遂げた。だが,ウェブはいまだ十代の未成年であり,まだまだ経済上あるいは社会上の経験を積む必要がある。1999年の出来事101には,Webが見せている「思春期の冒険」や「過ち」の部分が多く見られる。

 テクノ・ポップ,パンク,ニュー・ウェイブが産声をあげる70年代後半から80年代。日本という国では,「家庭」が失われた。登校拒否,家庭内暴力,離婚の急増…。家庭というものがなくなって,親という存在が意味を失った。その時,家を失った子供たちは,生きる場所として「街」へ飛び出した。街こそ,子供たちを包み込み,慰め,癒す存在としての「親」であるとした。子供たちは街で多くのことを学び,街で生きた。サエキケンゾウは,それを表現し,「母子受精」を作詞した。

 だが,街は,現在ではとても空虚な存在だ。子を受け入れるには,現代の街はちょっと年をとりすぎてしまった。では,今,我々の親たるべきフィールドはどこか? 云わずもがな,ワイヤードである。寂しいときは慰め,危うい社会の中で多くのことを学ばせてくれる。我々はワイヤードに包み込まれているような気もするし,飲み込まれているような気もする。実際の家庭と,おんなじだ。ワイヤードこそ,私の家。ワイヤードこそ,私の場所。いろいろなことがあった99年,ワイヤードは,家としての機能をより高めて,我々を飲み込んでいく。



 
[1999.12.26]
  金はウェブの回り物


 ▼ナスダック・ジャパンは大阪証券取引所内に創設(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/9912/24/nasdaq.html


 「金は天下の回り物」の時代が終わって,「金はウェブの回り物」の時代が始まる。そう,ウェブで回る金は,ここから始まる。ここで旗揚げする電子商取引サイト,ニョキニョキ出てくるだろう。

 米国の電子証券取引所ナスダックの日本版,ナスダック・ジャパンは24日,大阪証券取引所の1部門として設置されることが発表された。ナスダック・ジャパンでは,ベンチャー企業でも株式公開が可能であり,米国ナスダックとの連携で海外投資家からの資金調達も可能。大証では,電子化を他取引所よりもいち早く進めており,ナスダック・ジャパンとの市場間接続が可能であることから,今回の提携となった。

 先日の東証のマザーズ開設(過去記事)が,完全な電子取引までたどり着けず,結局他の取引と同様のスタートを切ったのに比べると,ナスダック.jpは完全な電子証券取引所としてのスタートを切りそうだ。証券取引所という機能自体は,当然電子的機能でまかなえるものなのだが,果たしてそれで大丈夫なのかという不安感が,マザーズの迷走状態を生んでいる,と見える。

 米国ナスダックは,万全のバックアップ体制で,システムのダウンを防いでいる(過去記事)。だが,今年5月,ハッカーによりナスダックはサイトの書き換えにあった(ZDNet Newsの記事)。もし,株式情報へのハッキングがあったら…と考えると…夜も寝られない人が多いだろう(^_^;)。金をウェブで回すことにも繋がるナスダック.jpだが,ハッキングで,日本が初めに痛い目を見ないことを祈りたいですネェ,孫さん(^_^)。



 
[1999.12.25]
  I stalk you, always!


 ▼2次利用がこっそり進む個人電話番号(Nikkei BizTech News!)
  http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/biz/89311


 クリスマスが終わればお正月…,年賀状の季節。年賀状の宛名書きにはこれ以上ない便利な機能…。冬が終われば春,変質者の季節…,ストーキングにはこれ以上ない便利な機能…(^^ゞ。

 アルバインが先月発売したカーナビの売れ行きが好調だ。このカーナビは,NTTの個人電話帳データを搭載しており,電話番号と名字を入力すると,相手宅の玄関まで車を誘導してくれる。このような電話番号から住所を逆引きする商品は,年賀状ソフトで宛名書きの手間を省くためにも搭載されている。だが,プライバシーの問題が曖昧なままなので,郵政省は来年早々にも議論の場を設ける。

 年賀状の処理はお済みだろうか。個人で友人などに出すだけならまぁ徹夜でもすれば済むが,企業の場合や,何らかの集団の場合は,宛名を調べて入力するだけで一苦労。ちょっと出遅れると,年を越してしまうんじゃないかと思ってしまう(^^ゞ。そんなとき,これがあればそれはもうムチャクチャ楽。なにせ電話番号を入力するだけで,名前と住所が自動で入力されてしまう。あまりの便利さに,怖い感じがしてくるが,その怖さは,たぶん本当の怖さだろうな。

 ようは電話番号さえわかればいいのだ。電話番号さえわかれば,その人間の居場所が掴める。自分を相手にしない恋人であろうと,散々恨みの積もった同僚であろうと,電話番号さえわかれば,あとはいかようにでもできてしまう。カーナビなら道順さえも調べる必要はない。…すぐ行くよ,君が望んでいようと,いまいと,僕は君のところに行ける。簡単に行けるんだ,待っててね…:-P.(Gさん,日記を参考にさせていただきました。どうもですm(_ _)m)



 
[1999.12.24]
  熟を妨げる熱


 ▼マザーズ第一号銘柄2社が22日に新規上場(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/1999/1222/mothers.htm


 人気ばかりで成熟しない。たとえば80年代のバブル景気に散々沸いた,日本経済。たとえばワールドカップで散々な目を見た,Jリーグと日本サッカー。たとえば簡単に誰でも使えると散々あおり立てた,PC購入競争。…残ったものの,不確かさよ。

 東京証券取引所の新証券市場マザーズは22日,インターネット総合研究所リキッドオーディオ・ジャパンの2社を,第一号銘柄として上場した。両銘柄とも大量の買い注文に対し,売り注文がほとんどないまま取引を終了し,初値が付かなかった。東証では,予想以上の過熱ぶりから,24日の取引・扱いを変更し,様子を眺める。

 ZDIIの記事によると,インターネット総研の時価総額は2734億円となり,例としてカシオ計算機(Yahoo!Japahの株価情報)の2337億円を大きく上回る。米国の電子証券取引所ナスダックに似た銘柄を扱うというマザーズへの期待感が含まれているとはいえ,この過熱ぶりは,やや,異常だ。

 東証でも人気の電子通信分野の会社は,最初かなりの高値がつき,その後は業績が安定しているにも関わらず,株価は下がっていくという乱れた動きが多く見られた。マザーズの2社にも,同じ相場展開が見られそうだ。ブームとしてのマザーズはニュースになりえるが,人気先行のまま続けば,相場自体が成熟しない。それは,日本のEコマース,電子通信インフラの整備の遅れにも通じる。…対する米国のナスダックは,22日も5日連続の最高値を更新している(asahi.comの記事)。



 
[1999.12.23]
  21世紀のための日本語論


 ▼大日本印刷とボイジャー、WWWブラウザー用「たて書きプラグイン」を開発(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/1999/1222/tate.htm


 意識して平仮名で文章を書き綴ってみると,平仮名を読み直してみるとわかる。平仮名や漢字という日本語は,縦に書くこと,縦に読むことを第一に作られている。の,だが…。

 大日本印刷株式会社株式会社ボイジャーは,ウェブページを縦書きで表示するブラウザプラグイン「DNPたて書きプラグイン」と,サーバー用変換システムを共同開発した。これは,通常のHTMLデータに若干の縦書き用タグを埋め込むだけで,縦書きに自動変換できる。現在,読売新聞社が来年1月から,同システムの導入を表明している。

 まず基礎として,パソコンは縦書きということをまったく考えずに作られている。アルファベットしかない国で作られているのだから,当然のこと。ソフトウェアも同様。たまに縦書きできるワープロがあるが,違和感を拭えない。なにより,横幅の方が大きいモニタが違うわな(^_^;)。フルDTPの縦書きの本も多いが,横書き以上の難癖が付けられる。アドビ・ページメーカーもクオーク・エクスプレスも,もともと横書きしか扱えず,縦書きはあとでとってつけた機能でしかない。今後,DTPソフトの多言語化,ローカライズバージョンの削減が予想される。インターナショナルバージョンで日本語がそのまま扱えても,縦書き機能のサポートまでデフォルトで付くとは思えないな。

 平仮名は,筆跡の動き方が縦書きを基本として作られている。日本語とはもともとそういうものだった。だが,パソコンという箱は,縦書きを受け入れない。ワイヤードも同じこと。ならば,縦書きなんて捨ててもいいのかもしれない。平仮名の字形も,横書きに合うように変えてしまえばいい。我々はもう,横書きで書かれた日本語に違和感を感じることはないのだから。明日からすべての日本語が横書きで書かれてても,困ることはないのだから。ワイヤードで生きるのが楽になるし,簡単な話,でしょ。



 
[1999.12.22]
  速さこそ命


 ▼インテル、750MHz/800MHzの『Coppermine』Pentium IIIを発表(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/1999/Item/991221-1.html


 速さこそが生き甲斐だった。F1,競馬,スマッシュサーブ,100m走,剛腕パス,盗塁王…。スピードを持てるのは,生きている証だ。そして,スピードをさらに上げられるのも,生きている証だ。

 インテル社は20日,ペンティアム3の750MHzおよび800MHzを発表し,AMD社のアスロン750MHzから最速の座を奪い取った。この発表は,インテルが中核としているハイエンドモデル市場で,AMDからどれだけ強いプレッシャーを感じているかを示している。今後も両社から予想よりも早く,新しい高速度プロセッサーが出荷される可能性は非常に高いといえるだろう。

 インテルが5月17日に550MHzペンティアム3を出荷,AMDは6月23日に600MHzアスロンを発表,インテルが8月2日に600MHz(過去記事),AMDが8月9日に650MHz,さらに10月4日に700MHz,今度はインテルが10月25日に733MHz,AMDが11月29日に750MHz…と,今年の流れは,動作周波数の階段三段跳びくらいの勢いの流れに当てはめることができる。インテルは,ミレニアムを最速で迎える,と云うことに言葉以上の意味を持たせているのだろう。

 対するAMDも当然動いており,すでに800MHz版のレビューがあちこちで報告されている。正式には1月10日に800MHz,2月7日に900MHzというロードマップがあるが,それをも前倒しして発表することは容易に考えられる。人間は速さの中に,その速さの果ての「死」を見て,タナトスを感じる。今の世の中で,それをいちばん感じさせてくれるのは,このCPU DRIVEだ。速さこそ命,速さこそ全て,という唯一絶対無二の価値基準が,そこにあるのだから。



 
[1999.12.21]
  ネットワークフレキシブルフランク!


 ▼冷蔵庫が電子レンジに何を話したって? (後編)(ASCII24)
  http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=columns/alex/alex006.html


 「ぼくの望んでいたのは,およそ家庭内の仕事という仕事はなんでもできるような機械であった。…家事は無限に繰り返される不必要きわまる苦役である。…ぼくは万能(フレキシブル)フランクの製作に取り掛かった(R・ハインライト「夏への扉」)」。今もって現れないその機械はきっと,ネットワークに繋がる「意志」を持っている,それは間違いない。

 コンピューターテクノロジーにおける次の大変革といわれているのは,あらゆるものがインターネットに繋がり,生活をより良くするために手助けしあうユビキタスコンピューティングだ。だがどこまでをネットワークが管理し,どこまでを自分が管理するのかなど,ことパーソナルの領域の話では,壁にぶち当たる。我々がすぐに,冷蔵庫や電子レンジと口をきくほどの仲には発展しないだろう。

 と,いうペントランド教授のお話。でもそれで終わってしまってはつまらない。…確かに,インターネット冷蔵庫インターネット電子レンジなんてものはすでに姿を現しはじめているが(過去記事),さっぱり使えなさそうだったり,別にパソコンでやればいいやんというものばかり。すでに個々の特性に徳化し過ぎた機器をネットワークをつないでも,さしてやれることはないということ。今必要なのは,新しい機器の発明なのかもしれない。

 ネットを介して注文を出せば,すぐにすべてのものが宅配される社会も近いだろう(ZDNetのコラム)。それにアクセスして自動的に毎日注文し,その宅配されたものを受け取って自動的に調理し,余ったものは内蔵の冷蔵庫に貯蔵する。そこまでできる機器があってはじめて,ネットワーク家電は意味を持つ。パソコンは間口が広かったからネットワーク端末となりえたが,現在の家電にはその間口がない。だから,新しい機器への変容が求められるのだ。その変容を発明するものは,誰かな〜?



 
[1999.12.19]
  期間限定!あと1ヶ月の噂


 ▼99/12/17, 12:40am - Hmmm ... a possible Transmeta spoiler…(JC's News'n'Links)【英語】
  http://www.jc-news.com/pc/


 計り知れない,人知を超える,思いも描けない,信憑しがたい,徹底的に秘密に守られていたことが,日の目を見るのか。あと1ヶ月。我々の空想力と,想像力を引き連れて,クルーソーがやってくる…。

 我々は1月19日になにを見るのか? とあるCPUデザイン会社の親友から聞いたところによると,トランスメタ社が発表するのは,600MHzのモバイル用プロセッサーだという。そんなことは知ってるって? だが驚くべき事実は,伝えられるところによると,その600MHz CPUは,たった1ワットしか消費電力がないということ。AMD社のモバイル用K6-III-Pが16ワット,K6-II-Pで12.6ワットだから,信じがたいノートパソコンの消費電力を可能にするだろう。

 あと,1ヶ月。ずっとずっと噂と憶測だけで語られてきたトランスメタが,その真実は表に出す日まで,ちょうど1ヶ月となった。最初の噂は,宇宙人から授かった技術を製品化しているというとんでもないものだった。だが,Linuxの創始者,現在のプロセッサー基礎を作った人間,そしてMSの設立者などが集まって,まったく極秘になにかをやっているとなれば,いやがうえにも興味をそそるもの。そんな興味が発奮して出た噂だった。その後の噂も,あらゆるOSをも動かすCPUだとか,現在あるものを徹底的に凌駕する高速のCPUだとか,クルーソーというどんな命令でも処理するエージェントを操るとか…(過去記事,9/2610/311/19)。

 消費電力1ワットと云うのは,それはいったいなんですか〜状態になる途方もない話なのだが,途方もないことを予感させるトランスメタだから,それもありえるか。ノート用とは思えないほど熱々のK6-Pと比べるのは酷だが,セレロンと比較しても一気に7分の1の消費電力となる。人間のなせるわざと思えないから,やっぱり宇宙人が持ってきた技術っぽい(^_^)。まぁあと1ヶ月。いろいろ空想力を働かせて,楽しみたい。



 
[1999.12.18]
  大企業の価値の喪失


 ▼オークションサイトで販売を試みるサン(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/1999/Item/991217-7.html


 オークションサイトが引き起こす地殻変動。このサイトが,価値基準を狂わしていく。自分が,大企業と同等の位置にいる。いや,大企業も,ここでは自分と同じ価値しか持っていない。

 米国サン・マイクロシステムズ社が実験として「auctions.sun.com」という売り主名で,新品のサーバーとワークステーションをオークションサイトのイーベイに出している。中小企業向けの市場をIBMやヒューレット・パッカード社に奪われている同社は,その市場に食い込む方法を模索しており,これもその一環。オークションにかけられた商品は定価の40%以下の値段であるが,サンはここから最終的にいくらに落ち着くか注目している。

 ということで実際に見に行ってみる。ローエンドのウルトラ5ワークステーションのベッティング状況はここ。かなりの入札があり,もっとも入札の多い機種では,995ドルで売り始めたものが,1,405ドルまで値がついている。ただ,これでもサンのサイトで同じものを買うと2,595ドルになり,1,000ドル以上安い。お買い得でっせ,お客さん。

 サンは何度か商品を出し続けているようで,でもイーベイと提携するわけではなく,ただの商品提供者として出品している。購入者にとっては,相手が企業だろうと一般人であろうと差はない。もともとオークションサイトは売る側と買う側の立場が別れていないところが面白さのひとつとなっている。販売店で買うよりも気楽で,売る側と買う側が対等の関係がやり取りできる。ポケモンのトレカを売っている奴(すんげぇ値段)も,シンプソンズのマウスパットを売っている奴も,サン・マイクロシステムズ社と同列なんだ。そこが,すごい。



 
[1999.12.16]
  その切なさがリアルとの差


 ▼オンライン玩具販売サイトへの攻撃を呼びかける抗議運動(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/9912/15/etoys.html


 華やかに,魅力いっぱいに店頭を飾っているオンラインストア。自らの利点を宣伝し,高いブランドイメージを創出しているドットコム企業。だが,そこにアクセスしたときに感じる,わずかな心の揺れ…。感じるでしょ,なにかが足りない,その感触…。

 アートマークという集団が,オンライン玩具会社イートイズ社へ攻撃を加えることをインターネットユーザーに呼びかけている。これは,イートイズ社がアートグループ「イートイ」に対し,商標権侵害訴訟を起こしたことに抗議するもの。アートマークは,イートイズ社のサイトのアクセス数を混乱させるなどして,株価の下落,そしてイートイズ社の破壊を目指すという。

 実際の店舗を破壊しようと思ったら,でっかいハンマーでも持ってお店に行けばいい。オンラインストアでもやることは一緒。サーバーに負荷をかけ続ければ,簡単に店じまいとなる。実際の店舗は店員という人間が信用ともなりえるが,オンラインストアは,データだけ。データが消されたら,信頼は失墜する。その点,店員が殺されるまでいかなければ,リアルワールドの方が救いようがあるか。壊れた店舗で店員が平謝りしていれば,まだなにかをくみ取ることができるかもしれないが,404のエラーメッセージは,それ以上のことを語りはしない。

 私たちは,もしイートイズ社にアクセスできなくなったときに,なにかを感じ取ることがあるだろうか。もちろん,企業という傘の下で小さな芸術集団をムシケラのように扱ったことを取り立てることもあろう。だが,実際におもちゃを買うことを欲している客は,他のオンラインストアを探しに行くだけだ。そこには,打ち砕かれた看板もなければ,土下座している店員もいない。オンラインストア,またはドットコム企業の興隆は続いているが,そこにアクセスしたときに感じる,切なさ,のようなもの…。データは表情を持たないし,データに人の体の温かさはない。その切なさこそ,ワイヤードなんだけどね。



 
[1999.12.15]
  シオンの丘に昇る陽の意を解く


 ▼暗号技術大国イスラエルの事情(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/3483.html


 世界でもっともハッカーの多い国はどこか? 世界でもっともコンピューターウイルスが多く作られている国はどこか? 世界でもっともワイヤードに「近い」国はどこか? それは,イスラエルだ。

 今週,イスラエルの2人の暗号技術者が,携帯電話の音声スクランブル技術を解読したと報じられた。イスラエルには優れた暗号技術者が数多くおり,コンピューターセキュリティー産業も非常に栄えている。この国のハイテク技術の多くは軍事的な起源を持っており,暗号技術も軍と学術界で磨かれている。

 現在はマクロウイルスの台頭などで状況が変わってきているが,一昔前までウイルスの産地(?)といえばイスラエルだった。「13日の金曜日」や,最近では「ExploreZip」もイスラエルが出所。イスラエル産のものは技術力の高さから巧妙にコード化されており,徹底的な破壊力を持ち得る(イスラエルで発見された往年のウイルス一覧)。そういえば昨年の2月に米国国防総省のコンピューターに侵入して逮捕されたのは,イスラエルに住む18歳の少年だった。

 暗号というのは,武器だ。戦争において,暗号のやり取りが破られることは負けを意味する。暗号という武器がしっかりしていれば,それだけで敵に大きな打撃を与えることができる。逆に,高い暗号解読能力を持つということも,当然武器となる。周りをすべて敵国に囲まれたイスラエルは,その武器を,当然のように大切に考え,携え持つ。ワイヤード上の暗号の話も,密接にリアルに結びついている。その緊張感は,国というもの意味を知るうえで,ワイヤードというものの意味を知るうえで,大事なものだ。



 
[1999.12.14]
  お掃除だ〜い好きなんですぅっ。


 ▼掃除機ロボット続々登場(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/3476.html


 ロボットといえば掃除! お掃除お掃除! マ○チもド○シーもロー○もしょっちゅうお掃除してるではないか!? お掃除もできないロボットは,ロボットとは呼べ〜ん(←「ドラえもんは?,アトムは?」)。

 イギリスのベストセラー電気掃除機を開発したダイソン社は,来年米国で,電気掃除機ロボット「DC06」を発売する。DC06は50以上のセンサーで家具などを避け,掃除中はランプを緑,危険を察知したときは赤にするなどして自分の状況を伝える。価格は3,500ドル。

 ソニーのペットロボット「AIBO」は来年4月から月産1万台規模で量産されるというニュースがあった。2回申し込みを受け付けて,30万件近くになったというのだから,その人気はただ者ではない(開発者へのインタビュー記事(産経新聞))。だが,このAIBO君,決して高性能ではない。なにをしてくれるわけでもない。ペット的な心の癒しは与えてくれても,掃除も洗濯も,料理を作ってくれることもな〜んもない。うがった見方をすれば,このヒットの要因は,役に立つロボットなんてまだ作れるわけがないということを認識していたソニーの思慮深さ,かもしれない。

 下手に今の段階であれができます,これができます,と言って売り出しても,実際にはその通りに動かなくて苦情が来るのは目に見えている。なら笑って許される程度のエンターテイメントロボットの方がいい。この思索,賢いといえば賢い。でもでも,ロボットはお掃除をしてこそロボット(^^ゞ。掃除のできないものをロボットとは呼ばない(←?)。DC06や,エレクトロラックス社の試作掃除ロボット自律的電気掃除機プロジェクトの作品などを見ながら,そんなロボットの登場する日を夢見てみるのですよ。



 
[1999.12.13]
  ハックに思いを抱いてミレニアムを


 ▼ハッキングをランキング(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/Content/Special/10hacks/


 事実は小説より奇なり。事実のハッキングは,小説のハッキングなどよりよっぽど面白い。新世紀には,どんなハッキングが現れるか。それを考えるだけでわくわくする。

 ウェブ上の「ハッキング活動家」による独創的で破壊的な仕業をいくつか選んでみた。それらは,ウェブ文化に欠くことのできない,興味をそそるセンセーショナルなものだ。インターネットの黎明期にサーバーの1割をクラッシュさせたワーム,映画会社の宣伝の疑いがあるサイト書き換え,通信品位法に反対するユーモアあふれる司法省サイトの書き換え,血なまぐさい非暴力政治活動,残酷なジョークによる企業攻撃,そして,ハックに対する意識を変えたフィクションの国防省サイトハッキング…。

 そろそろ今年を振り返る時期…,ということで思い返すと,6月には毎日新聞や朝日新聞のサイトが書き換えられる事件が起こったり(過去記事),8月にはウインドウズ・メディア・オーディオがクラックされたり(過去記事),10月にはDVDのコピー防止技術がハッキングされたり(過去記事),マイクロソフトの非公開サーバーが書き換えられたり(過去記事),小欄でもいくつか取り上げた。でもその他にもちょくちょく,あそこのサーバーがハクられてる…なんて記事をニュースサイトで見かけた。日本のサイトとて,十分標的になる得るようになってきた,というのは今年の大きな変化か。

 記事を読んで思うことは,どのハッキングも,なんと独創的で,想像力に富み,あるときは厳格に意志を表し,あるときはユーモアにあふれているか,ということ。ハックと云うもの自体が成熟しなければ,こうはいかない。まぁ現在の1位はフィクションだが,これに取って代わるとんでもないハックが起きるかどうか。そんなことを思いながら,2000年を迎えたい。



 
[1999.12.12]
  紙屑でしかない新聞


 ▼米Ziff-Davis,出版部門を7億8000万ドルで売却。ネット事業に資源集中(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/9912/07/zd.html


 いつもお世話になっております,ZDNet様(^^ゞ。あなたの紙部門を惜しげもなく売却される所行,感銘するとともに,紙こそ最高のメディアと思っている愚民たちを,早く駆逐して欲しいかぎりです…。

 米国ジフデービス社は6日,「PC MAGAZINE」「PC Computing」「PC WEEK」などを発刊している出版部門を売却すると発表した。これは親会社であるソフトバンクの,インターネット事業に資源を集中させたい意向によるものとみられている。

 読売新聞は自社データの中で「新聞というメディアを考える」という特集を組んでいる。そのトップにあるインタビューがひどい。全部紹介するのは馬鹿らしいのでしないし,読む価値もないのだが,そのなかに,今のインターネットはジャーナリズムに取って代われる状態ではとてもないとの記述がある。ほんで,新聞社は,新聞に載せられなかった記事をインターネットで載せればよい,だいたい匿名で意見や情報を発信しているのは,大衆ファッショでしかない,…だって(-_-#)。

 新聞が現在,どれほど信頼されているのか? 過去に新聞社が起こした社会的な事件はいくつあったか? 匿名の情報など価値はないというのなら,新聞記者は新聞社の名前を出さないで,自分の名前だけで取材して記事を出すことができるのかい? 大企業という後ろ盾がなければなにもできないような人間の集まりが,今後も存在し続けることに意味はない。いかがわしい拡張で金儲けをして,世論を動かすようなオピニオンもない。すでに現代において,新聞は紙屑以下でしかないのでは? ZDNetの紙部門の売却というニュースの影で,日本の新聞メディアのくだらなさを,どうにかして欲しいなぁ。



 
[1999.12.11]
  すべてはメリッサから始まった


 ▼Melissaウイルスの作者,罪を認める――ウイルス犯罪の抑止効果になるか(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/9912/10/melissa.html


 もし,コンピューターウイルスがこれからも長い歴史を刻んでいくとしたら,その年表中の大きなターニングポイントとして,メリッサは記されるだろう。そしていつの日か,我々は感慨深く思い出す。現在のウイルスに関するものはすべて,メリッサから始まったのだ,と。

 今年3月に猛威をふるったコンピューターウイルス「メリッサ」の作者として起訴されたデビット・スミス被告(31)は9日,有罪答弁取引において,有罪を認めた。これによりスミス容疑者は,最大10年の収監と40万ドルの罰金が課される可能性がある。米国で初めて起訴されたウイルス作家は「被害を及ぼしてしまったことは疑う余地もない」と全面的に罪を認めている。

 メリッサ,その出来事を思い出すことは,とてもたやすい。3月26日に発見されてから,爆発的に増殖し,マイクロソフトやインテルなどのメールサーバーをストップさせた(ZDNet Newsの記事)。当日のうちにアンチウイルスメーカーが製品を対応させたが,勢いはとどまらず,3日ほどで世界中へと蔓延。4月1日にスミス被告がFBIによって逮捕される怒濤の展開となった。

 結果的にネットワークで伝播するのではなく,最初からネットワークを伝播手段として利用することを意図したメリッサの登場は,鮮烈にも感じたが,当然のことのようにも思えた。その後,脅威を感じさせているウイルスはすべて,メリッサと似た手法でメールソフトを利用して伝播したり,最近はチャットソフトを利用して伝播したり…(過去記事)。繋がっていることが当然となり,断ち切ることが考えられない現状で,それをきちんと把握して,利用する。このウイルスのカタチは,これからもずっと続くだろう。そしてその始まりとして,メリッサという出来事があったことを,我々は記憶しておく必要がある。



 
[1999.12.10]
  記念すべき記念品


 ▼「シアトル暴動」の記念品がイーベイで競売に(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/3459.html


 記念品を売りに出そうヨ。送ったパケットのとてつもない量のログ? サーバーダウンして表示されたエラーメッセージ? それとも精根込めて作ったフェイクサイト?

 世界貿易機関(WTO)シアトル閣僚会議への抗議行動の記念品が,米国イーベイ社のオンライン・オークションサイトで競売にかけられた。催涙ガス缶と催涙弾,手榴弾などを詰めた『催涙ガスお楽しみセット』は,75ドルの値がついていたが,イーベイ社は武器のセールスに関するルール違反と,所有者が明確でないことで,これらのオークション品の取引を中止した。

 大大大混乱となったWTO会議(テクノバーンの記事)はネット上にも波及し,WTOのウェブサイトに繰り返しリクエストして負荷をかけるサイトが作られたり,WTOのパロディサイトがいろいろできたりと,なかなか盛り上がった。いちばんすんごいのはWTOの前身であるGATTの名前をそのまま使ったGatt.org。現在のWTOのページをほぼそのまま使いながらちょこちょことパロって,なんとWTOから,似せたサイトを非難する公式のプレスリリースまで出させてしまった(ZDNet Newsの記事)。

 で,イーベイにもその余波。競売が中止になったのは残念だが,とにかく,こんなふうにリアルワールドとワイヤードは繋がり続ける。リアルでの戦争がワイヤードでの戦争になる。リアルでの暴動がワイヤードでの暴動になる。そしてその余波が飛び交う。敗戦処理や暴動の後片づけ,戦利品,被害者の救済,戦勝者たちの喜び…。これは,ワイヤードでの「記念すべき」暴動の記念品でもある。



 
[1999.12.09]
  変化=進化


 ▼チャットで感染する自動更新型ウイルス「W95.Babylonia」姿や繁殖手段が変わる危険性も(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/9912/08/babylonia.html


 人は生きるために変わっていく。変わらなければ生きていけない。強いショックをかわすため,どんな状況にも対処できるようにするため。生き続けるためには,変わり続けなければいけない。

 アンチウイルスソフトメーカー各社は7日,チャットソフトのmIRCを利用して感染していくウイルス「バビロニア」を報告した。バビロニアには自動的に自分自身をアップデートする機能があり,インターネットでウイルス作者のサイトに接続し,新しい「プラグイン」があると,その機能を適用させる。このため,ウイルスがさらに破壊的なものになったり繁殖手段が変化することも考えられる(トレンドマイクロ社のウイルス情報)。

 このウイルスの特筆すべき点は,自動アップデート機能だ。記事にもあるように,バビロニアの「自動アップデート機能は,シマンテックがウイルス検知機能を常に最新のものに保つために使っている「ライブアップデート」技術と似通っている」とのこと。笑えますな(^_^;),シマンテックさん。

 人は攻撃を受けると,それを無意識のうちにかわす能力を持っている。失恋して,もう立ち直れないほどの打撃を受けても,今までと違う明るい自分を作ってショックを消したり,今までの恋愛の基準をあっさり変えてかわすこともある。しかもそれらを無意識に行なったりもする。それは,人間が社会生活を営むうえで身に付けてきた進化だ。その進化を身に付けた,ワイヤードウイルス,手ごわそうだね。



 
[1999.12.08]
  2000年問題君現わる!


 ▼Y2K対策で大晦日も働く人々のためのウェブサイトとTシャツをデザイン(シリコンバレーエクスプレス)
  http://www2.nihon.net/cgi-bin/sve/osform/SVERead?osform_template=Brows_body.oft&pDate=991207&Id=06


 『ここは2000年問題をマジメに考える者たちの砦であーる』「だって2時からここで会議が…」『ナーンセーンス。われわれはーっ,2000年問題に対し無知な社会との闘争をー,ここに全面展開することを宣言しーっ! 蜂起貫徹,戦闘勝利を確信し,強く連帯ー!!』「思い出しますなあ,東大紛争」「火炎ビン作ろうか」(唐沢なをき『電脳炎』)。

 SENTRY2K社が,西暦2000年問題対応のために大晦日の夜も働く人々に感謝するウェブサイトを開設する。世界各地で働く人々の登録ページと,ロゴ入り記念Tシャツ紹介,およびそのTシャツを購入できるオンラインショップとのリンクを提供している。登録ページで登録された名前は,後で国連の国際Y2K強力センターに提出され,その努力と自己犠牲が認められることになっている。

 さあ,小欄初登場のY2Kです。今日だけでも,外務省が飛行機を利用しないよう指示(毎日新聞),Y2Kが気になって旅行しない人が7.8%とJTBの調査結果(asahi.com),自衛隊が9万6千人の待機態勢(毎日新聞),ヘリ・護衛艦も待機(時事通信),海上保安庁が船の衝突回避訓練(時事通信),厚生省が医療機関での安全を確認(毎日新聞),電気通信事業者協会は加盟148社で9500人体制(毎日新聞),ソニーは1万1千人体制で対応(時事通信),とすごい数のニュース。いや〜,もう1ヶ月を過ぎましたからね。みなさん大変そうです。ヤフー!ジャパンの2000年問題掲示板(そんなものがあったのか…)では当然のように煽っているやつがいて楽しませてくれます。火炎ビン,作りましょうかね,やっぱり(^_^)。

 で,いろいろな企業や団体がお正月を会社で迎えるように(?)指示しているようで(そういえば小渕君もですね(asahi.com)),なかにはサーバーの前でお正月を迎える人もいるわけですな。ご苦労様ですm(_ _)m。そんなあなたにY2K Tシャツ! って,とりあえずTシャツを作るのがアメリカ人のアメリカ人たるところでしょうか。サイズは「M」「L」「XL」「XXL」の4種類,価格は17.95ドルだそうです(^_^;)。



 
[1999.12.07]
  心の痕跡(キズアト)を消す術


 ▼Introduces MacWasher『MacWasher』発表(シリコンバレーエクスプレス)
  http://www2.nihon.net/cgi-bin/sve/osform/SVERead?osform_template=Brows_body.oft&pDate=991206&Id=01


 人は生き存えなければいけない生き物であるというのは,とても酷な十字架だ。生きるほどに痕は増えていく。すべてをフォーマットしてしまえるものなら,どれほど楽なものか。もし,すべてがデータでしかないワイヤードで生きることができたら,その十字架を下ろすことができるかもしれない。

 ウェブルート社は2日,ファイル&ディスククリーンアップ・ユーティリティ『マックウォッシャー』を発表した。数々の賞を受けた『ウインドウ・ウォッシャー』のマック版。ブラウザのキャッシュ,クッキー,履歴の洗浄や,テンポラリーファイルの削除を行なう。また,削除したファイルに最大10回まで上書きし,どんなユーティリティーでも復旧できないようにする,国防省の基準を超えた強力なディスク漂白機能もある。

 パソコンは使うと,OS上にどんどんと痕(キズ)がついていく。マックでもブラウザの情報はもちろん,試用したシェアウェアの初期設定ファイルや,アプリケーションを削除しても残っているシステムファイルや機能拡張などなど。最近はスパムメールでユーザーのPCにクッキーを植え付け,ウェブサーフィンの時にブラウザの履歴などの情報を取得し,メールアドレスと結びつけるなんてことができることも報じられているし…(ZDNet Newsの記事

 心の痕跡を消すには時間がかかるが,ディスクは物理フォーマットして,すべてのセクタに“0”を書き込んでしまえばいい。もしかしたら,人間は,自分の心もそうしてしまいたいのかもしれない。リセットする,フォーマットする,その時に感じる快感。ワイヤード上に人間が活動するようになったら,それも可能になるのか。心のどこかで,私たちはそれを望んでいて,だからこそ,ネットワークが発達しているのかもしれない,ネ。



 
[1999.12.05]
  未来


 ▼iGeek:未来のショック(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/9911/29/c_igeek.html


 未来は,どこにあるのか? 科学者の頭の中? 政治家の頭の中? 技術者の頭の中? どこかにあるとしたら,それを予想することができる。だが,現在の我々は,その未来へと走る暴走列車にしがみついているだけのように見える,かもしれない。

 コンピュータの未来を予想すると,2つの正反対の選択肢があるようだ。ひとつは,その中にOSもアプリもデータもすべてが入った,ストレージデバイスを使う世界。もうひとつはネットワーク上にすべてがあり,それにアクセスする世界。どちらにしても,人間の変化はそれについていけない。人間の変化は遅いのだ。現在も,我々が必要としているパフォーマンスを超えており,そのパフォーマンスをどう使うか考えあぐねている。

 コンピューターの加速度的な能力の向上は,とどまることを知らない。今週はAMDから750MHzのアスロンチップの出荷もあり(ZDNet Newsの記事),なにか心理的な要因が動いたのだろうか。CNET Japanのコラムしかり,WIRED NEWSの記事しかり,急速なテンポに警鐘を鳴らすかのような記事が目に付いた。

 だが,そんなことを云っても,進化は止まってくれない。人間の進化の遅さを尻目に,コンピューターはその脇を猛スピードで駆け抜けていく。ストレージはギガからテラの世界へと突き進み(過去記事),チップはなんに使うのかわからないほどの速度を実現していく。ハードウェアは,まるで人間の身体を取り込むかのようなウェアラブルを実現していき(過去記事),そして,リアルワールドと同価値のワイヤードが,我々を迎え入れる。もう,立ち止まる必要なんかないんだ。おそれていても,我々にはその,未来しかないんだから。



 
[1999.12.04]
  TVという名の地域格差を消せ


 ▼論議をよぶネットテレビ・サービス(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/1999/Item/991203-8.html


 いや,なんとも他人事と思えないニュースでしてね(^^ゞ。

 今週開設されたカナダのアイクレーブTV・コムは,リアルプレイヤーを使って,カナダと米国のテレビ局17社が放映する番組をリアルタイムで,インターネット上で流している。カナダの法律では,コマーシャルや番組をカットしたり新たな内容を加えたりしなければ問題ないが,米国では著作権の侵害となる。AOLやヤフー!なども同様のサービスの提供を計画しているようだが,米国のテレビ局はまだそれに応じるのを拒んでいる。

 アイクレーブTVは,カナダ在住者以外利用できないように,放送局選択の前に,カナダの市外局番を入力させ,度重なる注意事項に同意させている。だが,そこはインターネットのなせる技で,カナダの企業のページに行けば,市外局番3ケタなんてすぐ見つかる。それを入力すれば,おおっ,NBCがある,CBSもある,ABCも,Foxもある(^_^)。だが,しょせんリアルプレイヤーだから,コマ落ちは激しいし,画面は荒い。それでも,日本にいても,アメフトの放送もリアルタイムで見たいし,シンプソンズだってリアルタイムで見たいものだ(これは私の希望…(^^;)。

 私は地方の出身で,地方では系列のテレビ局がないと,見られないキー局の放送がある。ものすごく話題になっている番組でも,放送されていない地域はあって,たまたまその地域に住んでいると,それはとっても嫌なものだった。すべてのテレビ放送をワイヤードへ。それでなくなる地域格差は,大きいと思うのだが,どうだろう,日本の放送局の皆さん(特にTBSさん(-_-;)。



 
[1999.12.03]
  メールの送り主の居場所


 ▼機内通信の可能性を広げるスパイグラス(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/1999/Item/991202-4.html


 メールを送ることができない場所を考えてみよう。電線のないところ,電波の届かないところ,水の中とか,雲より遥かに高い上空とか…。でも,そんな場所はすごい勢いで駆逐されている。

 電子機器及び通信設備メーカーの米国スパイグラス社は1日,アメリカン航空,デルタ航空,ブリティッシュ航空などに,航空機上で乗客がインターネットを利用できる機能を提供することを発表した。航空機にサーバーを設置し,機内の乗客同士,または機内と地上で,あらゆるコミュニケーションが可能になるという。

 インターネットを,インターネットたらしめたウェブブラウザ「モザイク」の権利を94年に買収して持っているのがスパイグラス社だ。モザイクは現在,スパイグラスの手によって,パソコン以外の,テレビや携帯電話用のブラウザとしての機能を高めている。このニュースも,航空機内の座席に専用のセットトップボックス(PCではない)を設置して利用させるというものだろう。設備の簡易さと価格の安さが決め手である。

 飛行機の座席で利用できるモザイクからは,ホットメールヤフー!メールなどのウェブメールが送れるだろう。でも,飛行機に乗っている人からメールが送られてくる,というのは,やっぱり違和感がある。携帯電話からのメールはアドレスが限られるためすぐわかるが,そうでないアドレスからメールが来た場合,相手はパソコンか,それに類するものの前にいることが考えられる(もちろんモバイルの可能性もあるが…)。だがよもや,飛行機の中だとは考えないもつかない。地球上のすべての場所から,ワイヤードへのアクセスが可能になる。メールの送り主のいる場所を想像することは,できなくなっていくんだ。



 
[1999.12.02]
  噂のチャンネル


 ▼データイーストの怪情報!? 同社が否定(geisen news)
  http://geisen.com/news/gnw12601.htm


 「面白くないのかい? 君は…」。この世界の半分は噂でできているんだよ。そして,噂はかならず,真実という影を連れてくる。

 「REVIVE...〜蘇生〜」や「探偵神宮寺三郎シリーズ」などを発売しているデータイーストが1日,同社の倒産,買収といった噂や怪情報がネット上で流布しているとして,これを否定する発表を行なった。同社は東京地方裁判所から和議開始前の保全処分の決定を受けているが,これは経営不振を改善する処置であるとし,噂のような事実はないとしている。

 代表作をあげようとしたが,あえてあげた「REVIVE」の不振も経営不振の大きな要因となったというデータイースト。火のないところに煙は立たず,壁に耳あり障子にドロシー(^^ゞ,ということで,まぁ危険な状態であることに代わりはないようで,そこから生まれた噂であるようだ。

 米国ではマックOS9がリコールされたという噂が駆け巡った(MacWIRE ONLINEの記事)。これも真相は,多く仕入れすぎてしまった店舗が返品し,それをよく知らない販売店がリコールと勘違いしたという感じ。まぁDHCPサーバとのやり取りがうまくいかないという致命的な欠陥が大きく取りざたされているMacOS9(NIKKEIMAC.COMの記事)。リコールがあってもおかしくないと思う気持ちをみんなが持っていることが,噂を各地へと放った。データイーストの噂もそうだが,ワイヤードは,最大の伝播媒体として噂を導く。情報はシェアされ続け,憶測が事実となり,そして真実へとなっていく。でも,よくよく見れば,その噂を作っている要因は簡単に見つけられるものだ。そうして,噂はまた広まっていく。



 
[1999.12.01]
  遠くへ行きたい


 ▼急成長が見こまれるネット電話(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/1999/Item/991130-5.html


 知らない街を 歩いてみたい,どこか遠くへ 行きたい。愛する人と めぐり逢いたい,どこか遠くへ 行きたい…。

 インターネットを利用して音声を伝える音声通話技術は,昨年2億7900万ドルの売り上げを記録したが,5年後には100億ドルを超えるまでに膨れ上がると見られている。「最終的に,電話はすべてどこかの段階でインターネット・プロトコルを通ることになるだろう」という意見もある。プロバイダーも音声サービスを提供し始めており,その場合通常の遠距離通話よりも安くなっている。

 インターネットで最初の驚きは,距離感の喪失だった。電話であれば,近い距離なら値段は安いが,遠くになれば遠くになるほど高くなる。郵便だって,国内ならおんなじ料金だが,海外だと値段が上がる。電車の運賃だって,航空料金だって,すべて一緒。近くは安くて遠くは高い。だが,そんな「常識」が皆無のワイヤードと巡り合って,我々は戸惑っていた日もあった。

 「遠くへ行きたい」という望郷に似た言葉に,ノスタルジーを感じることもなくなった。そして,生まれた地に縛られてどこにも行くことができないという不遇がなくなって,その気になればどこへでも行ける,地球の裏にだって,月の上にだっていける,という世界が目の前に広がっている。電話とて同じ。IPに乗ることで,距離が喪失して,どんな遠くにいる友人とも毎日,隣にいることができる。「遠くに行きたい」と,もう嘆く必要なんか,ないんだ,この世界では。




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